「人生100年時代の社会人基礎力」とは

News & Tips

皆さんは「社会人基礎力」という言葉をご存知ですか?
社会人基礎力とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力として、2006年から経済産業省が提唱している概念です。

ビジネスパーソンだけでなく、教育分野でも注目されている「社会人基礎力」ですが、昨年「人生100年時代の社会人基礎力」として新たに3つの視点を加え、発表されました。
留学・ワーホリ中の方にこそ「人生100年時代の社会人基礎力」を知ってもらいたいと思い、こちらにまとめました。

「社会人基礎力」含め「働き続けられるスキル」を見直すべき理由

「社会人基礎力」や「人生100年時代の社会人基礎力」の説明に入る前に、なぜ今「働き続けられるスキル」を見直さなければならないかについてお話したいと思います。
「人生100年時代」と昨今よく耳にするようになったかと思いますが、その理由は単純明快。医療の発達や文明により人々の寿命が伸びたからです。
少し話がそれますが、皆さんアニメ「サザエさん」を見て、何となく違和感を感じませんか?
もちろん舞台が昭和の古き良き時代となっているからではありますが、年齢設定を知って驚いた人も少なくないと思います。
サザエさんに出てくる磯野波平(いそのなみへい)さんの年齢はなんと54歳の設定。
漫画が連載されたのがが1946年で、当時の日本の平均寿命はなんと男性50歳、女性53歳。
(この時点で波平さんは長生き!)
アニメが開始された1969年の日本の平均寿命は男性69歳、女性74歳。
2018年7月の発表によると、現在の平均寿命男性は81.09歳、女性は87.26歳。
波平さんの年齢設定に違和感を感じるのは、国が豊かになり医療が発達したことで、老いるスピードが落ちたからです。
それはとっても喜ばしいことなのですが、平均寿命が伸びた分、働く期間も伸ばす必要があります。
特に少子高齢化の進む日本では、かつてのように60〜65歳まで働けばあとは年金で生きていける!という保証もありません。
そのため、働き続けられるスキル(長期間社会で活躍し続ける能力)が注目され始めたのです。
人生100年時代についてはこちらの記事にも記載しています。

人生100年時代に求められるスキル

さて、本題。
新しく提唱された「人生100年時代を生きる社会人基礎力」では社会人としての基礎能力と業界の特性に応じた能力を【アプリ】と【OS】に例えて説明しています。

出典:人生100年時代の社会人基礎力について – 経済産業省

皆さんがお持ちのスマートフォンをイメージしてもらえるとわかりやすいかと思いますが、スマートフォン本体の機能にアプリを追加してより使いやすくしていきますよね。
仕事も同じで、
企業や職種・業種に関係なく活躍していくことのできる社会人としての基礎能力所属する企業や職種・業種で活躍していくために必要な専門スキルの両方をアップデートすることではじめて時代に合わせて活躍していくことできると説明されています。

人生100年時代の社会人基礎力

先程の【アプリ】と【OS】でいうところの【OS】の部分となる「社会人基礎力」をについて説明していきたいと思います。

社会人基礎力とは

社会人基礎力は3つの能力と12の能力要素で構成されています。

  • Action:一歩踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力
    • 主体性:物事に進んで取り組む力
    • 働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
    • 実行力:目標を設定し確実に行動する力

    指示待ちにならず、一人称で物事を捉え、自ら行動できる。

  • Thinking:疑問を持ち、考え抜く力
    • 課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
    • 計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし
      準備する力
    • 想像力:新しい価値を生み出す力

    自ら課題提起し、解決のためのシナリオを描くことができる

  • Teamwork:多様な人々とともに、目標に向けて協力する力
    • 発信力;自分の意見を分かりやすく伝える力
    • 傾聴力:相手の意見を丁寧に聞く力
    • 柔軟性:意見の違いや相手の立場を理解する力
    • 状況把握力:自分と周囲の人々や物事の関係性を理解する力
    • 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
    • ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

    グループ内の協調性だけに留まらす、多様な人々との繋がりや協働を生み出すことができる

これが社会人基礎力のベースとなる概念です。

人生100年時代の社会人基礎力とは

次に、新しく発表された「人生100年時代の社会人基礎力」について。
社会人基礎力が新しく発表された背景には、「少子高齢化・人口減少」、「人生 100 年時代」、「産業構造の変化」、「グローバル化」等によって、個人の職業人生は長くなる一方で、スキルの賞味期限は短期化の一途をたどっているという現状への危機感があります。
一つのスキル・経験でいつまでも活躍することは困難で、個人が活躍し続けるためには、「働く」ことと「学ぶ」ことの一体化が必要不可欠。
そこで「人生100年時代の社会人基礎力」では、これまでの社会人基礎力という概念に「学ぶ」ための3つの視点が加えられました。

出典:「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」報告書-経済産業省

  • 何を学ぶか:
    人生 100 年時代の社会人基礎力、キャリア意識、マインドセット等の OS、IT スキル等のベーススキル、産業分野別のスキルセット 等
  •  どのように学ぶか:
    体験総量、越境学習、企業における従業員向けキャリア教育 等
  • 学んだ後に、どのように活躍するか:
    スキルや成果に基づく公平な人事評価制度、転職・再就職の円滑化 等

また、これらの好循環を生み出す上で重要なのは、その中心に、個人が「どういうキャリアを切りひらいて行きたいか」を明確にすることとされています。

出典:「「人生100年時代の社会人基礎力」と「リカレント教育」について-経済産業省

なぜ留学中に知っておくべきなのか

留学やワーキングホリデーに来ている人の中には、帰国後英語をビジネスに活かしたいと考えている方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、英語はあくまでツールの一つ。
確かに「必要な基礎スキル」になりつつはありますが、英語を活用するには「ビジネス英語力」以上に「仕事力(ここで言うところの【アプリ】と【OS】)」を身につけていく必要があります。
留学・ワーホリ中に就活や再就職について考えることなく、帰国してから動き始めると、ついついベースとなる仕事のスキルよりも英語力や留学中に身についたスキルをアピールしてしまいます。
「英語を身につける」という目標から一歩踏み込んで「英語を活かせる自分になる」ということを目標に、留学生活・ワーホリ生活を送ってほしいなと思います。

帰国キャリアドットコムをフォローする
タイトルとURLをコピーしました