「英語力には自信があるから、翻訳の仕事をやってみたい!」
「企業に就職するのではなく、家にいながら英語に関わる仕事はできないかな?」
「留学経験があるので、生きた英語を翻訳の仕事に活かせるといいんだけど…」
英語力を活かした仕事を目指す人にとって、在宅でもできる「翻訳」の仕事は昔から人気の職種の1つです。しかし、AI翻訳の普及により、翻訳業界の働き方や求められるスキルは大きく変わりつつあります。
この記事では、「翻訳 × 英語」をキーワードに、これからの時代における翻訳の仕事について考えてみます。
【レベル別】翻訳者に求められる英語と日本語の具体的なレベルは?
翻訳者の案件を受けるには、最低でもTOEIC600以上の英語力は必須です!
【初級レベル(TOEIC ~600 / 英検2級)】
単価は安め(0.5〜2円/文字程度)。短文が多く、専門性はほとんど求められません。
- 商品説明、観光案内などの短文翻訳
- インスタ投稿や簡単なPR文の翻訳
【中級レベル(TOEIC 700〜800 / 英検準1級)】
単価はやや上昇(1.5〜4円/文字程度)。一般的なビジネス文書、記事、マニュアルの翻訳ができ、読みやすい日本語力が必要です。
- Webサイト・コーポレートサイトなどの翻訳
- 一般ビジネス文書・簡単な契約関連文書の翻訳
- 簡単なアプリやゲームの翻訳
【上級レベル(TOEIC 850以上 / 英検1級)】
単価は高め(3〜10円/文字か、それ以上)。専門用語や論理構造の理解が必要で、「読みやすさ」と「正確性」が必須です。
- NDA・契約書などの法務翻訳
- 治験関連資料・論文などの、医薬・医療翻訳
【プロレベル(翻訳資格や実務経験あり)】
プロレベルになると、高単価(5〜15円/文字以上)な案件も多く、1時間3,000円ほどの時給制の場合もあります。一定レベル以上の翻訳品質を保ち、英語力や専門知識に加え、「高度な日本語力」が必要です。
- 医薬、法律などの高品質案件を、翻訳会社との直接取引で依頼を受けることも
- 国際機関文書、研究成果、契約書などの日英翻訳
- 校正や、他の翻訳者の訳文チェック
現在はAI翻訳などで、ある程度の翻訳ができるけど…今後、翻訳の仕事って需要はあるの?
現在、AI翻訳(機械翻訳)の進化によって翻訳の仕事は大きく変化していますが、需要が全くなくなるわけではありません。むしろ、役割が変わり新しいチャンスも生まれています!
機械翻訳の精度は向上しており、Google 翻訳、DeepL、ChatGPT などでは「意味の通る文章」は十分に出せるようになってきました。特に汎用的な文書(ニュース、簡単なビジネス文書など)は、AIでもかなりの精度の翻訳ができます。そのため、一部の翻訳案件での単価は下がっている傾向にあります。
「誰でもできる翻訳」はAIで代用されつつあり、単価の安い案件は競争が激化しているのが現状です。
フリーランス翻訳者の中でも、経験が浅い層が苦戦しているのはそのためです。
それでも翻訳の仕事はなくならないのは、なぜ?
AI翻訳だけではカバーできない分野が多い
- 法律や契約書:一語のニュアンス違いが大きな法的リスクに直結する
- 医療や製薬:薬効・副作用・用量の翻訳ミスが命に関わる
- ゲーム・アニメ・小説:キャラの個性や文化ネタを理解して訳す必要があり、ニュアンスを汲み取る力が必要
MTPE(機械翻訳のチェック)の需要が拡大中
機械翻訳をベースに、人が自然な文に修正する「ポストエディット(MTPE)」が翻訳業界でも年々急増しています。人が翻訳するより速く、AIに任せるより正確であるというバランスの良さ。
翻訳者は「エディター」としての役割が増えています。
これから翻訳で食べていくには専門分野を1つ以上持つこと
特定分野の知識や経験がある場合、単価の高めの案件を取りやすいです。
医薬・医療翻訳
- 製薬会社、医療機器メーカー、治験関連などで膨大な翻訳の需要あり
- 専門性が高いため参入する人が少なく、報酬も高い傾向
- 英日・日英の両方に需要があり、継続案件につながりやすい
適している人
- 医療や生物学、薬学などに興味がある人
- 専門用語を的確に調べ、理解する力がある人
IT・テクニカル翻訳(ソフトウェア、マニュアルなど)
- ソフトウェア開発などの普及に伴い、日常的に大量の翻訳需要あり
- 海外企業が日本向けにサービスや製品を展開する際、日本の文化や表現に合わせる作業が必要となり、それを踏まえた翻訳のニーズが多数ある
- ITやガジェット、最新技術などに興味がある人
- 英語の仕様書・マニュアルを読むのが好きな人
特許翻訳
- 特許申請には必ず翻訳が必要なため、英日・日英ともに一定の需要がある
- リサーチ能力と正確性が求められるため、報酬も比較的高め
適している人
- 技術文書を読むのが得意で、調べ物が苦でない人
- 技術系(機械、化学、電気)など専門分野に強い人
- 特許明細書は長文で構造が独特なため、地道にコツコツ作業するのが好きな人
品質を武器に、中~高単価の案件を狙う
翻訳を終えた後の見直しが、良質な翻訳のカギとなります!誤訳、訳抜け、表現の不自然さなどを原文と訳文を一文ずつ比較し、翻訳の質を高めましょう。
訳文を声に出して読み、自然な日本語になっているかを確認するのも効果的です。
導入コストはかかりますが、翻訳支援ツールを使用するのも一つの手です。過去に訳した文を保存し再利用することで誤訳が減り、翻訳の精度が上がりますので、同じ分野での翻訳の依頼を多く受ける人には特におすすめです。
他人の訳文を読み、自分の翻訳と比較することで、改善点が明確になります。書籍やWeb上の優れた訳文を多く見る、また、同じ原文を自分でも訳す練習はスキルアップにつながります。他者の訳文を見て、表現の幅を広げましょう。
まとめ:「翻訳」はAIと共存できる!
機械翻訳の進化で、「誰でもできる翻訳」の価値が下がっているのは事実ですが、人間の翻訳者にしか担えない領域は多く残されています。
「AIにできないことを自分の強みにする」+「AIをうまく使いこなす」ことができれば、この先も翻訳を仕事としていくことは十分可能です。
まずは小さな一歩からで構いません。あなたができることから少しずつ取り組んでいきましょう!
